「世界の屋根」と呼ばれるパミール高原は、標高6、7000メートルの山々に囲まれた広大な高山地帯だ。真っ青な空が高く広がり、雪をまとった急峻な山々が天をつく。厳しい自然が作り出す景色は視界に収まらないほど大きく、壮大で、美しい。
生活圏最高所、標高4200メートルで農業と遊牧生活を営む少数民族・タジク族のダウティ一家に出会った。電気もガスもない、土で固められた平屋の簡素な家で、ダウティは貴重なヤギをさばいてふるまってくれた。心のこもったもてなしだった。
「ここは『天のゆりかご』とも呼ばれているんですよ」。案内してくれた中国のドキュメンタリー作家が教えてくれた。「天が近いでしょう。この地で生きるものたちを、天が見守ってくれているんですよ」
外へ出ると雪が降っていた。太陽の日差しが焼け付くような夏でも雪が降る。「天」は厳しく、優しい。降り注ぐ雪は、天が語りかける言葉のようだ。「天のゆりかご」で暮らす人々を、もっと知りたくなった。
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中国西部の新疆ウイグル自治区。中国の総面積の約6分の1を占め、人口の6割以上がウイグル族を中心とした少数民族だ。イスラム教徒によって東トルキスタン共和国の建国が図られたが、1949年に中国が統合。55年に同自治区が設置された。
タジク族が暮らすのは、パキスタンやタジキスタン国境に接するタシュクルガンのタジク自治県。現存するタジク族は約4万3000人とされる。西暦2~3世紀にタシュクルガン一帯にチェパントという国が現れ、その国の人々が祖先と考えられている。
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