週末のワシントン市内で、台湾映画「海角七号」(魏徳聖監督)の鑑賞会に招かれた。昨年の封切り後、台湾ではハリウッド映画「タイタニック」に次ぐ史上2番目の興行成績を収めた人気作だ。日本では来年早々に公開というが、米国での上映は「まだ未定」なのだという。
台湾最南端の海辺を舞台に終戦直後と現代が重なるラブストーリーなのだが、複数の言語で紡ぐ構成に加えて、日台の歴史や文化が伏流水となって全編に流れている。日本人の琴線にピンと触れるのは間違いないとしても、米国人はスッと入れたのだろうか。
上映後のレセプションで感想を聞くと、「十分楽しめたよ」という反応が多かった。字幕の英訳はちょっと雑だったが、筋を追うにはあれで十分なのだろう。昨今の米国自体、中南米移民の急増でかなりマルチ言語化が進んでいる。
「ところで」と、映像ジャーナリストのデーブ・マラシュ氏に聞かれた。「あのクライマックスで歌われる楽曲は、日本、台湾どちらのだ?」
楽曲とは、シューベルト作曲「野なかの薔薇(ばら)」。日本統治を通じて台湾に持ち込まれた西洋音楽が、過去と現代を結ぶ物語の「鍵」という仕掛けは、多少の説明が必要かもしれない。だが、講釈は野暮(やぼ)だ。ラストシーンでは、目頭を押さえる米国人が多かったのだから。(山本秀也)
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